山と旅と私

四季を通じて登山を楽しみ、沢、岩、海岸線、そして街や雑踏も楽しむアクティブなライフスタイルを紹介します。

大杉谷渓谷 桃の木山の家から七ツ釜へ

松本から大台(伊勢)まで高速で約4 時間。道の駅から予約しておいたマイクロバスで登山口までさらに1 時間半。 平日にもかかわらず満員なので人気コースなのだろう。
三重県大杉谷一帯はキャンプ禁止なので原則小屋泊まり(沢登りではビバークするが)。

今回はピークハントではなく、渓谷を歩く山旅。標高も450m前後を歩いてゆく。 地形は急峻かつ多くの滝、渕が見られ、吊橋も頻繁にある。渕はエメラルドグリーンで深さはどれほどだろう。

信州人にはなじみの薄い嵓(山かんむりに品で「くら」)という字が時々ある。 断崖絶壁のことを指すのだとか。

さらに新鮮に映るのが照葉樹の森。ヤブツバキとかシラカシなんて暖かい所の証拠。さらにツガの大木(径1m近い)まであった。そしてヒノキが岩を抱くように生えていたのも珍しい。 肥沃な土ではなく、岩が多い中でここまで豊かな森が育つのは、温帯多雨のおかげだろう。

上流部で時折聞こえてくるのはカジカガエル。夏の始まりなんだなと思う。
今回は荷物も軽くて行動時間も4 時間程度だから、一生懸命ガツガツ歩くのはもったいない。地形や植物のことをゆっくりゆっくり味わい、五感を磨くような山歩きが最適だ。

しかし、転落注意の看板がしつこいくらいにあった。一つ必要な技術を上げるとすれば「歩行技術」。軽く見られがちだが、歩くことを技術として考えたいと思った。