山と旅と私

四季を通じて登山を楽しみ、沢、岩、海岸線、そして街や雑踏も楽しむアクティブなライフスタイルを紹介します。

八ヶ岳 赤岳雪上訓練

登山というよりも訓練のために参加した。 親睦やピークハントではない。

講習では「教える意図」がとても明確で、何を身に付けてほしいのかがよく伝わってくる。

 

まずは歩行技術。知らないでいたら平らな道を歩くのと同じように斜面を歩いてしまう。しかし、斜面歩行は別物と考える。 そもそも歩くメカニズムとは、

  • 片方の足で立ち 
  • 進む方向へもう片方の足を出し 
  • その足に重心を移動して身体が移動する。 

 

この3つの動作を平地では同時に、斜面ではしっかり分けて行うのである。

 

そして登り斜面に対して斜め方向に(ガニ股に見える)進め、先端のインサイドから着地する。平地と同じように足を出すと、スネのあたりに無理が生じているのがわかる。 これを何千歩も続けたら極疲労で当然。

さらに左右の足と同時に上半身の体重移動も意識する。体重移動というとクライミングを思い出すが、斜面歩行でも同様。 さらに急斜面となると横移動のような足の運びをする。 靴のエッジを使ってステップを小さく切って登るのだ。

 

実際にはこの技術を状況に応じて使い分ける「判断力」が求められる。慣れないうちは、どこに負担がかかっているか意識を体に向け、一カ所に負担がかからないように工夫してゆく。

 

一般の登山で急斜面になると、経験者が「そこ、注意してね」なんて初心者に言ったりするが、注意だけではなく、歩行技術を教えなければ意味がないと思う。 体力と気力だけで登山なんて言うのは一昔前のオハナシ。

 

後半になると、ピッケルとアイゼンを付けて滑落停止、、、かと思いきや、それはほんの5分か10分程度の説明。 一応恰好は教わったが、滑ってすぐに体制が取れなければ意味がなく、滑ってしばらくしてからでは加速の勢いでピッケルが飛ばされるという。

 

それより、転ばない技術をきちんと身に付けること!!

 

特に急な下り坂、横向きで降りるときの足の運びは真横でなく、斜め後ろに足が出るのが自然の動き。それはより安定した姿勢につながる。 そして最初に記した歩行の3つのメカニズムがここでは重要。 谷側の足を出したらまず足場を作るようにする。いきなり体重移動したら、状況によっては足がツルリと滑って危ない。

 

足場を作り、足を置いて、それから上半身の体重移動。この3つの動きを何度も練習した。

 

この歩行技術だけで午後4時間! 薄暗くなるまで続いた。

 

翌日は赤岳へ向かう。

気温はマイナス6℃。 服をどう着るか、山頂付近の強風を意識して目出し帽をどこへしまっておくかを教えられる。 出発前は少し寒いくらいの服装。 つまり「汗をかかない工夫」で、以前なら「汗をかいたら1枚脱げ」なんて言われた。 今は全く逆だ。

 

強風と寒さ対策の目出し帽は、「ザックを降ろさなくても出せる所」にしまう。 加えてゴーグルは最初からつけない(登り途中に付けてる人数名)。 蒸気で前が凍り付いてしまうので、最初はサングラス。

 

 

と、こんな密度の濃い初級者講習であった。「お金を出してまでやるのか、、、」なんて思われたかもしれないが、

充分価値があり、これを実践で生かしていこうと思う。